Uncategorized

「ムカサリ絵馬」 絵師がつなぐ祝言と供養

「ムカサリ」――山形県村山地方の方言で「迎えられる(嫁入りする)」を意味する言葉「むかさる」が転じ、結婚や婚礼そのものを指す。この地には、「ムカサリ絵馬」という未婚のまま亡くなった故人のために、遺族が架空の婚礼の様子を描いて寺院に奉納する供...
Uncategorized

千葉の端で発酵をたどる

千葉県の北端に位置する、野田市と流山市。東葛と呼ばれるこの地域は、「しょうゆ」と「みりん」の一大生産地だ。千葉の片隅で江戸時代から連綿と作られる2つの発酵調味料。その足跡をたどった。 東武アーバンパークライン・野田市駅を降りると、目の前にキ...
Uncategorized

【ショートショート】冷たいラジオ

ジジジジビー、ジジズズ急に聞こえてきたそれは、電波を受信しようとする壊れたラジオのようだった。ジジジズーズーピーたまにある、換気扇を伝わって届く、廊下なのか隣の部屋の人の声なのか。もしくは、ケータイで動画が勝手に流れ始めたのかと思った。キッ...
Uncategorized

【ショートショート】くものこ

ある日、気づいたらそこにいた。部屋の隅の天井に、白くもやっとしたものがあった。バレーボールくらいの大きさ。最初は蜘蛛の巣か、埃が溜まったのかと思った。くもだった。夏の始まりの日だった。何をするでもない。ただただそこにぽかんと浮いている。くも...
Uncategorized

【ショートショート】おいしい匂い

女性がそれに気づいたのは、電車に乗ってしばらく経ってからだった。夜の帰宅ラッシュの時間。運良く空いた隅の席に納まると、空腹のお腹を宥めようと丸まっていた。混雑した車内はドアが開くたびに乗客が増え、立つ人で隙間がないほどだった。 どこかの駅で...
Uncategorized

花火を立てる

この夏は、花火について知ろうと決めていた。きっかけは、俵万智さんの著書『生きる言葉』だ。舞台『正三角関係』の稽古場を見学した際のエピソードに触れて、こう綴られている。 殺人をかくも丁寧に裁きつつ戦争をする国家とは何俵さんがこの作品から受け取...
Uncategorized

ケンさん

頻繁に使用する駅の地下構内、いつも同じ柱に寄りかかり座る男性を見かけるようになった。どう見ても1人なのだが、床には向かい合うように2本の飲み物が置かれている。まるで、親しい友人とちゃぶ台を挟んで談笑しているかのように、彼は顔をくしゃくしゃに...
Uncategorized

オランダ人の食生活とスティーブ・ジョブスの服

「なんでオランダに食文化ってないんだろうね」オランダ人のシルバが言う。すると、オランダ人のダーンが、「オランダに食文化がないってどう言うこと?あるじゃん、ハー リン(ニシン)の尻尾を手で掴んで食べたり、年越し前にオリーボーレンを食べたり」「...
Uncategorized

南アフリカ旅行とアパルトヘイトの名残

2026年、アムステルダム発、ケープタウン着の飛行機ゲート。あたりを見渡すと、白人ばかりで、黒人がほとんどいない。何百席もある大型の飛行機で見かけた黒人は、二人だけ。南アフリカは、9割が黒人の国なのに、である。たとえ香港発だとしても、オラン...
Amuna

視線の先にあるもの――映画『Michael/マイケル』を観て

映画『Michael/マイケル』を観た後、新宿駅前の電光掲示板を見て足が止まった。頭に残っていたのは、マイケル・ジャクソンの視線。彼の創り出した世界は「ただのエンターテイナー」の次元をはるかに超えていた。